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月経前症候群(PMS)のイライラと不妊鍼灸 

更新日:8月24日

こんにちは、市川[はり灸sueru&YOGA]の鍼灸師犬塚志保です。


月経前症候群は「げっけいまえしょうこうぐん」と読みますが、短くして通称「PMS」と呼ぶこともあります。


月経のある女性の70〜80%は月経の3〜10日前よりなんらかの体調の変化を感じ、40%が月経前症候群(PMS)として治療が必要とされ、5〜20%は日常生活に支障がでている、

と教科書的には言われておりますが、みなさんはどうでしょうか。



市川 鍼灸 不妊
PMSはイライラだけじゃない

私は鍼灸師なので確定診断をすることはできませんが、不妊鍼灸を受けに来られる方の中で月経前症候群と思われる患者さんにお会いすることは多いです。そして、不妊症に限らず、一般的な鍼灸治療を定期的に継続をしていくと月経前後の体調不良が軽減していく方がほとんどです。


不妊治療をしている女性において、月経前は次の生理が来てしまうかどうか不安な時期でもあり、精神的なストレスはかなり大きい時期です。穏やかな性格の方でも沸点が低くなるというか、イライラも落ち込みもどちらも最大限の振れ幅を感じます。


月経前症候群の簡単な説明と、月経前症候群の中でも特にお困りの方が多いイライラについて、不妊鍼灸治療からの視点での体質タイプ分けをご紹介いたします。


妊活をしている女性にとって誰もが情緒が不安定になりやすい時期ではありますが、少しでもあなたらしく過ごせるよう、不妊鍼灸師の立場からお伝えできることをまとめましたので、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。


前置きが長くなりましたが、さっそく行きましょー♪



月経前症候群(PMS)とは

 

月経前、3〜10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。


生理前とは何日前からなのか、わかりにくい方もいらっしゃるかもしれません。


28日周期の場合生理10日前とは、生理初日から数えて18日目と同じですよね。

こちらの図をご覧ください!


市川 鍼灸 不妊
排卵日以降はPMS注意報発令⁈

28日周期場合、生理14日頃が排卵期になりますが、基礎体温測定や排卵チェッカーをお使いでない場合には、生理初日から数えて14日前後を排卵期と予測します。


それ以降がPMSに関係するホルモンとして代表的なプロゲステロンの分泌が高まる高温期となります。


高温期の真ん中あたりの生理20日前後でプロゲステロンが最高値を迎え、PMS注意報が発令される時期とリンクします。






月経前症候群(PMS)の診断基準について

 

何周期か振り返ってみて、お悩みの症状が月経周期と連動するかどうかがポイントです。


日常生活に支障が出ているかどうか、仕事や家事、育児などが無理なく行えているかどうかなど、なんとなくの感覚だけでなく日記やアプリなどで記録として残しておきましょう。


診断基準によれば症状の数は問わないとされていますが、同じ症状の辛さの程度や辛いと感じた時期などの繋がりを残しておくと医療機関を受診した際や鍼灸を受けに行った際などに伝えやすいと思います!


[月経前症候群(PMS)診断基準まとめ]

□特徴的な症状が月経の3~10日前に出現し、月経が始まると軽減する。

□症状のために日常の生活に支障をきたす。

□症状は、少なくとも数周期にわたり、同じような時期に同じような症状が反度する。

□症状の数は問わない。




月経前症候群(PMS)の症状

 

診断基準からもわかるように、症状の内容よりも月経の時期と連動するかどうか、また辛さが重要なポイントですね。


[からだの症状~お腹関連~]

□下腹部が張る

□腹痛

□お腹がゆるくなる


[からだの症状~お腹関連~]

□胸の張り

□乳房痛


[からだの症状~消化器関連~]

□吐き気

□気持ちが悪い

□便秘

□下痢



[からだの症状~痛み関連~]

□頭痛

□偏頭痛

□関節痛

□筋肉痛

□腰痛

□股関節痛


[からだの症状~自律神経の乱れ関連~]

□倦怠感

□だるさ

□熱っぽい

□のぼせ

□めまい

□むくみ

□浮腫み


[こころの症状~情緒関連~]

□炎上系

・イライラ

・食欲の異常

・過食傾向


□ダウン系

・気分の落ち込み

・抑うつ

・不安感

・喪失感

・孤独感


[こころの症状~睡眠関連~]

□不眠

□入眠困難

□中途覚醒

□悪夢


□他

・臭いに過敏になる

・性欲の変化

・集中力の低下

・判断力の低下





月経前症候群(PMS)と不妊鍼灸

 

月経前症候群の症状が確認できる場合には、不妊鍼灸治療では出現してる症状の軽減を第一目標とします。


初めにも書きましたが、妊活をしている女性にとって生理予定日前ほどストレスなことはありません。


妊娠の可能性があるのかないのか、希望と不安で平常心でいる方はほとんどいないと思っていて、表に出すタイプか、クールに隠すタイプかでかける言葉や話す内容などは微妙に変えています。


月経前症候群のなかでも特に影響が出やすいイライラなどの精神状態について、東洋医学的分類をご紹介しますので、参考になさってください。




[タイプA 肝鬱気滞]

【特徴】

ストレスのすべてが誘因となり気の滞りを発症します。


家族間の遠慮のない会話、同僚の仕事ぶり、後輩の面倒、旦那さんの何気ない言葉や態度、全てがイライラの源です。


イライラが沸々としていて、噴火したいけど理性で抑えているので、余計に消化不良になり自分を追い込んでしまっているかもしれません。


イライラしたくて、イライラできるネタを探している、そんな風に言う先生もいて、ああ層かもなあ、なんて思いました。炎上→噴火は気の発散になりますから。。。


【症状】

気滞によるもの

□乳房の張ったような痛み

□脇の下の張ったような痛み


付随する消化器症状

□食欲不振、あるいは過食

□軟便


舌診

□薄いか、やや厚くなります


【治法】

疏肝理気


補足

・肝の臓の暴走を落ち着かせ、気の巡りを静めます。

・泣ける映画か、思い切り笑える漫画など、自分が気に入っている物、事に囲まれましょう。推しがいる方は、カラオケやライブなど最高の特効薬です。

・イライラは気の上昇傾向が強くなっておりますので、体のなかでも足元の方へ気を降ろすようなイメージで施術いたします。


【ツボ】

肝兪:背骨の両側に連なる兪穴のツボのひとつ

太衝:足の甲にある、理気の代表

内関:胸郭部のつまりを解き、呼吸が入りやすくなるツボ



[タイプB 痰火]

【特徴】

タイプAの進化版、肝鬱気滞+痰=痰火がタイプB。


痰とは、代謝サイクルの中で使われずに濃縮し病理化した体内水分のことを呼びます。肺疾患で出てく痰はもちろん、部位によって鼻水、腹水、脂肪なども痰に含まれます。


イライラが発散できず、沸騰しまくりで、圧力鍋が最高潮に達している状態です。


【症状】

タイプAの全てが進化したものです。


心神の異常によるもの

□不安感・イライラの発散に対する落ち込み

□不眠・寝付けない

□炎上及び、発狂


淡火によるもの

□頭痛

□目の充血・炎症

□顔面の赤み・吹き出物


舌診

□舌苔は厚めで、白かクリーム色

□舌本体は紅め


【治法】

清熱去痰


補足

・熱を冷まし、淡(=濃縮し病理化した体内の水分)の排出を促す。

・夜風にでも当たって、とにかく頭を冷やしましょう。

・他人に当たり散らすなどもってのほか。その時はスッキリするかもしれませんが、後から何であんなことを言ってしまったんだろうと後悔するパターンです。


【ツボ】

曲池:肘関節の外側

豊隆:前脛骨の真ん中

心兪:背骨の両側に連なる兪穴のツボのひとつ

神門:手首の外側



ご紹介したツボはどれも中医鍼灸治療ではよく使われるツボですので、つぼこの部屋でご紹介したものはリンクをはっておきます。


その他については、今後つぼこで取り上げる予定です☆



月経前症候群のイライラと不妊鍼灸 まとめ

 

月経前症候群と他の疾患との鑑別は採血などの精密検査をする必要がありますので、かかりつけの婦人科を受診することをおススメしています。


鍼灸治療によって生理前のイライラが軽減することは多くありますが、経過が思わしくない場合には、月経前不快気分症候群(PMDD)などの精神疾患が疑わることもありますので、気分の落ち込みによって日常生活が潤滑に進まない場合はしかるべき医療機関を受診しましょう。


その他にも、消化器系の症状や甲状腺の疾患が潜んでいることもあります。「どうせ生理前だから~」と思い込まずに早めに適切な医療を受けましょう。


生理前のイライラや落ち込みを少しでも落ち着かせることができて、妊活に対してもそれぞれのカップルらしく治療を進めていけるよう鍼灸師としてサポートしていきたいと思います。


タイプ分けを参考にしていただきながら、ツボの効能なども踏まえてセルフケアをしてみてもいいでしょう。


わたくしの施術ではイライラにはお灸より鍼の方が適していると考えておりますので、ご自分でケアされる場合にはツボ押し、指圧くらいにしましょう。


もちろん、鍼にご興味ありましたら鍼灸治療をご体験いただきたいです。


ということで、月経前症候群のイライラと不妊鍼灸を終わります。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。


参考資料

日本産科産婦人科学会HP

武谷雄二著「PMS月経前症候群正しい知識をもつために」メジカルビュー社

「病気が見えるvol.9婦人科・乳腺外科第3版」メディックメディア

公益社団法人東洋療法学校協会「新版東洋医学臨床論(はりきゅう編)」南江堂

李世珍「中医鍼灸臨床発揮」東洋学術出版



 

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