肋間神経痛に鍼灸は効果的?原因・ツボ・帯状疱疹後の痛みまで鍼灸師が解説
- 7 時間前
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こんにちは、市川はり灸sueru&YOGAです。
「深呼吸すると胸が痛い」「脇腹に電気が走るような痛みがある」「帯状疱疹が治ったのに、ピリピリした痛みが続いている」——こうした症状でお悩みの方は、肋間神経痛かもしれません。
肋間神経痛は、日常のちょっとした動作でも鋭い痛みが走るため、生活の質に大きな影響を与えます。
特に帯状疱疹(帯状ヘルペス)の後に残る神経痛は、「もう治ったはずなのに…」と長引く症状に戸惑う方が少なくありません。
このコラムでは、肋間神経痛の原因・特徴から、鍼灸との相性、効果的なツボまでを鍼灸師の視点でわかりやすくお伝えします。
肋間神経痛とは——症状の概要
肋間神経とは、背骨(胸椎)から肋骨に沿って前胸部まで走る知覚神経のことです。この神経が刺激・圧迫・炎症などによって障害されると、肋骨に沿った帯状の痛みやしびれが生じます。これを肋間神経痛といいます。
主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
・肋骨に沿った鋭い痛み・ズキズキする痛み・灼熱感
・深呼吸、くしゃみ、咳、体をひねる動作で痛みが増す
・片側の脇腹~胸にかけての締めつけ感
・皮膚の表面がピリピリする、触れると痛い(知覚過敏)
・痛みが「電気が走るような」「刺すような」と表現されることが多い
痛みは一時的なものから慢性的なものまでさまざまで、特に帯状疱疹後に起こる神経痛は数ヶ月〜数年単位で続くことがあります。
原因と背景疾患
肋間神経痛は単一の病名ではなく、さまざまな原因によって引き起こされる「症状の総称」です。大きく分けると、整形外科的原因・神経・感染症由来・内科的原因の3つに分類されます。
整形外科・筋骨格系の原因
胸椎(背骨の胸部)の椎間板ヘルニアや変形性脊椎症、骨粗しょう症による圧迫骨折、肋骨骨折の後遺症などが神経を圧迫して痛みを引き起こします。
長時間のデスクワークや猫背による姿勢不良、胸郭の筋肉の緊張も関与します。
帯状疱疹(ヘルペスウイルス)由来
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が神経節に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して起こる感染症です。皮膚の水疱・発疹が治まった後も、障害を受けた神経に痛みが残ることがあり、これを「帯状疱疹後神経痛(PHN:Post Herpetic Neuralgia)」と呼びます。
肋間神経は帯状疱疹が最もよく現れる部位のひとつで、特に50歳以上、免疫力が低下した方(過労・ストレス・基礎疾患のある方)に多く見られます。帯状疱疹後神経痛は発症から時間が経つほど治療が難しくなるといわれており、早期対応が大切です。
鍼灸の視点では、帯状疱疹後神経痛は「正気(免疫・自己回復力)の低下」と「気血の流れの停滞(瘀血・気滞)」が重なった状態ととらえます。体力・免疫力を立て直しながら、神経に沿った気血の巡りを整えていくアプローチが重要です。
内科的・その他の原因
胸膜炎、肺炎、胸部大動脈瘤、腫瘍(原発・転移)、糖尿病性神経障害なども肋間神経に影響を与えることがあります。これらは鍼灸の適応外となる場合が多く、まず医療機関での精査が必要です。
鑑別疾患——「肋間神経痛」と間違えやすい疾患
胸部の痛みは、重篤な疾患が隠れていることがあります。以下の疾患は「肋間神経痛かな?」と思われやすいですが、それぞれ原因が異なります。
・狭心症・心筋梗塞:左胸〜左腕にかけての締めつけ感。息切れ・冷汗を伴う場合は救急対応が必要。
・気胸:突然の呼吸困難と胸痛。特に若い男性・やせ型の方に多い。
・肺塞栓症:呼吸困難と胸痛が突然起こる。長時間の安静後(術後・旅行後)に注意。
・胸膜炎・肺炎:発熱を伴う胸の痛み。感染症由来のため内科受診が必要。
・消化器疾患(胃潰瘍・逆流性食道炎):みぞおちから胸にかけての痛みで紛らわしいことがある。
・肋骨骨折・骨転移:外傷歴のない方でも、骨粗しょう症や悪性腫瘍による骨転移で骨折が起こることがある。
⚠️ 以下のような症状がある場合は、鍼灸院への来院より先に医療機関を受診してください。
・安静時にも強い胸痛がある
・息切れ・呼吸困難を伴う
・発熱・倦怠感を伴う
・急激に痛みが悪化している
・皮膚に発疹・水疱が出ている(帯状疱疹の急性期の可能性)
・原因不明の体重減少がある
肋間神経痛の鍼灸適応・非適応
鍼灸が効果を発揮しやすいケース
・整形外科的原因(姿勢不良・筋肉の緊張・椎間板の問題)による肋間神経痛
・帯状疱疹が治癒し、急性期を過ぎた後の帯状疱疹後神経痛(PHN)
・慢性的なストレス・疲労・免疫力低下が背景にある神経痛
・西洋医学的な検査で異常が見つからないが痛みが続く「特発性」の肋間神経痛
・薬の副作用が気になる方・薬と併用して痛みをコントロールしたい方
・痛みのために体が緊張・萎縮し、体力・気力が低下している方

鍼灸が適さない(まず医療機関を優先すべき)ケース
・帯状疱疹の急性期(皮膚に発疹・水疱が出ている段階)
・悪性腫瘍による胸痛、骨転移
・心筋梗塞・気胸などの緊急性の高い疾患
・強い炎症や感染症が活動期にある場合
⚠️ 緊急サインに注意:安静時の強い胸痛・呼吸困難・冷汗・失神感がある場合は、すぐに救急外来を受診してください。鍼灸院への連絡より119番が最優先です。

鍼灸は緊急疾患の代替ではありませんが、急性期治療の後や慢性期のケア、体力・免疫力の底上げという面で大きな役割を果たします。帯状疱疹後神経痛では、皮膚科・神経内科での治療と並行して鍼灸を取り入れることで、相乗的な効果が期待できます。
肋間神経痛と鍼灸治療期間と通院頻度
肋間神経痛の鍼灸治療は、症状の原因・重さ・経過した時間によって、必要な期間が異なります。
急性期〜亜急性期(発症から数週間以内)
週1~2回を目標に、できるだけ集中的に治療することで回復を早めやすくなります。
慢性期(数ヶ月以上経過している場合)
週1~2回からスタートし、症状が落ち着いてきたら2週に1回、月1回のメンテナンスへと移行していきます。

帯状疱疹後神経痛の場合
帯状疱疹後神経痛は、急性期から時間が経つほど神経の回復に時間を要します。一般的には3〜6ヶ月単位での継続治療を念頭においていただくことが多いです。焦らず、体の回復力を引き出すペースで進めていくことが大切です。
また、鍼灸は治療と同時に「養生(セルフケア)」の観点からの生活アドバイスも大切にしています。睡眠・食事・温め方・ストレスの管理など、日常生活で神経痛を悪化させない工夫もあわせてお伝えしています。
肋間神経痛に効果的なツボ
鍼灸では、肋間に沿った気血の停滞を解消しながら、体の根本的な回復力(正気・免疫力)を高めることを目的とします。以下に、肋間神経痛・帯状疱疹後神経痛によく用いるツボをご紹介します。
1)膈兪(かくゆ)
位置:背骨(第7胸椎棘突起)の左右2横指外側。
作用:血の会穴(血に関わる重要な兪穴)。血の流れをよくし、瘀血(血のめぐりのよどみ)を解消する。
肋間神経痛との関連:帯状疱疹後神経痛は東洋医学的に「気滞血瘀(気血がとどこおった状態)」ととらえる。膈兪は背部から直接アプローチし、神経に沿った血流改善・炎症後の組織回復を促す。ウイルスによるダメージが残る神経の回復を後押しするイメージ。
2)足三里(あしさんり)
位置:膝の外側のくぼみから指4本分下、脛骨の外縁。
作用:胃経のツボであり、全身の気血を補う代表的な「補益穴」。消化・吸収を高め、体力・免疫力・回復力を底上げする。「万能のツボ」とも呼ばれる。
肋間神経痛との関連:帯状疱疹後神経痛は「正気(免疫・体力)の低下」が根本にある。足三里は、痛みの局所治療だけでなく、体全体の回復力を引き出す養生的な鍼灸の要となるツボ。慢性期・回復期の体力再建、免疫力のサポートとして毎回の治療に積極的に用いる。長期にわたって神経痛と戦ってきた方の「疲弊した体を立て直す」役割を担う。
3)三陰交(さんいんこう)
位置:内くるぶしの頂点から指4本分上、脛骨の内縁。
作用:肝・脾・腎の三陰経が交わるツボ。血を補い、ホルモンバランスや自律神経を整え、滋養強壮・養生のベースを作る。
肋間神経痛との関連:帯状疱疹後神経痛で疲弊した体の「血・精(体の根本的なエネルギー)」を補う。特に過労・睡眠不足・更年期などで免疫が低下して帯状疱疹を発症した方に、体の土台を整える養生ツボとして重要。足三里と組み合わせることで、免疫力・体力の回復を相乗的に高める。
上記のツボはあくまでよく使われる代表例です。実際の治療では、患者さんの体質・症状・東洋医学的な弁証(体の状態の見立て)に応じて、使用するツボや刺激量を個別に調整しています。

まとめ「肋間神経痛に鍼灸は効果的?原因・ツボ・帯状疱疹後の痛みまで鍼灸師が解説」
肋間神経痛、特に帯状疱疹後神経痛は「皮膚は治ったのに痛みが続く」という特性から、精神的にも肉体的にも消耗しやすい症状です。
鍼灸は、痛みの緩和だけでなく、神経の回復を促す気血の流れを整えること、そして免疫力・体力・養生力を底上げすることを一体的に進めていけるアプローチです。「薬に頼りたくない」「体の根本から立て直したい」という方の選択肢として、ぜひご検討ください。
帯状疱疹後神経痛の方は、皮膚科・神経内科の治療と並行して鍼灸を受けることも可能です。現在の治療内容を初診時にお聞かせいただければ、それに合わせた施術計画をご提案いたします。
「自分の症状は鍼灸で対応できるのだろうか?」と迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。症状の状態を丁寧に確認した上で、鍼灸が適しているかどうかも含めてお伝えします。
当院では、一人ひとりの体の状態に寄り添いながら、無理なく続けられる治療・養生のスタイルを一緒に考えていきます。
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