こんにちは、鍼灸師ヨガインストラクターの犬塚志保です。
みなさんはこの俳句を聞いたことはありますか?
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」
山形県にある通称「山寺」には1051段の石段があり、俳人松尾芭蕉も訪れこの有名な句を詠んだ、とされています。
足三里
↓
松尾芭蕉
↓
山寺!
↓
行ったことあったかも・・・
そういえば小学生の頃、両親に連れられて山寺に行った記憶、長い石段を登ったような、登っていないような。そのあとにかき氷かソフトクリームか食べたような、そんな記憶を思い出させてくれました。
この句を詠んだ江戸時代の俳人松尾芭蕉も、「足三里」にお灸を据えながら俳句の旅を続けたといわれています。現代のように交通機関がない時代です。昔の旅人は1日10時間は歩いていたとされています。長く旅を続けるにあたって、足腰の強さはもちろんのこと、食事面での体調管理も同時に行える「足三里」にお灸をしていたことは、鍼灸師としてとても心にしみるエピソードです。
【足三里(あしさんり)】
【足三里のツボの位置】
膝の外下方、前脛骨筋のふくらみで、膝のお皿から、指4本下がったところ。
すね骨の高まりから、指1本外側へ
もしくは、陰陵泉の高さで、脛骨から1寸外方へ
押した時に、凹みや痛みを感じるところ。
【こんなときにどうぞ】
o 胃腸の具合がすぐれない
o 胃が痛い
o 胸やけがある
o 消化器系の働きを高めたい
o 膝関節痛がある
o 脛の筋肉がつりやすい
o 脚のむくみ予防
o 美脚&健脚
【ツボの解説と効果】
足三里は胃経の代表的なツボです。
胃経は他の臓腑と密に連携しており、胃の調子が他の臓腑に影響することも、逆に他の臓腑に調子が胃に影響することもある、五臓六腑のなかでは中心的役割をしています。
また、胃経と表裏関係にある脾経とともに、後天の精を作りだす役割を背負っています。両親から引き継いだ先天の精と、自らの力で作りだす後天の精は、いわば生命力そのものです。
胃の働きが悪くなり消化力が落ちれば、食べたものが蓄積され体重増加に繋がることがあります。消化されずに残った飲食物が病理産物となり、逆上して胸やけ、食道炎、頸や肩のこり、頭痛などみぞおちから上半身の症状へとつながることも考えられます。
解剖学的には、前脛骨筋という下腿の外側にある筋肉が関係しています。
高速道路の渋滞時など、長い間ブレーキを踏んだり緩めたりを繰り返すような動きは、前脛骨筋の負担になるかもしれません。
また、膝関節症の方、O脚の方、体重が外側にかかりやすい方は、前脛骨筋の筋肉が発達しやすいです。足三里にお灸や置き針などを行い、筋肉や関節への負担を和らげておくと膝関節症やO脚に伴って起こる不調を予防できると思います。
【足三里のケア】
お灸、針ともに有効です。
お腹が冷えて病むときには、お灸がいいでしょう。
空腹時に胃痛が出るような胃酸過多の場合には、しっかりとした熱感を感じられるタイプのお灸か、ツボ押しのようなはっきりとした刺激が好まれます。ちゅうと半端に刺激をすると、胃酸分泌を促してしましかえって胃痛がひどくなることがあります。
鍼のズーンという感覚を「ひびき」とか「得気(とっき)」といいますが、学生のうちは刺入感覚が甘いので、足三里をひびかせすぎてしまうのです。
足三里のひびきによって胃酸分泌を促し、空腹時の胃痛が悪化するというパターンはけっこうあるある話です。逆に胃酸が出にくい方は、足三里のひびきを多少感じていただいたほうが胃がスッキリすると思います。
【さいごに】
都心に住むひとは、よく歩くので疲労回復に。
地方に住むひとは、あまり歩かないので筋力維持に。
芭蕉のように、いつまでも自分の足で歩いていたいですね。
あなたが ツボの位置で もう迷うことがありませんように☆
さいごまでお読みいただきありがとうございました。
よい一日、よい明日をお過ごしください(^▽^)/
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